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自律訓練法の効果とやり方

自律訓練法とその効果

自律訓練法とその効果

人の体は、休息なしに活動を続ける事は出来ません。
その活動や休息を司るのは自律神経で、その中でも活動時に働くのは交感神経、休息時に働くのは副交感神経です。

この活動時と休息時に交互に機能する神経活動が、そのバランスを崩すことで病気になってしまいます。
これを「自律神経失調症」と言います。その治療に効果があるとされているのが、自律訓練法なのです。

 

自律神経を整える自律訓練法

自律訓練法とは、ストレス緩和や心身症、神経症などへの効果が期待出来る自己催眠法であり、心と体をリラックスさせるリラクゼーション技法です。自律神経を整える効果があり、自律神経失調症などで苦しんでいる人を、本来の健康な状態へと導いてくれます。専門家の指導の下で行うべきものもあれば、自分だけで出来るものもありますが、初めて自律訓練法を行う時は、専門家の指導を受けるようにしてください。

交感神経と副交感神経のバランスを整える

体には自律神経というものがあり、それは、活動している時や緊張している時、ストレスを感じている時などに働く交感神経と、休息している時やリラックスしている時などに働く副交感神経から成り立っています。これらのバランスが取れていると、昼間に活動した分の疲れも夜の睡眠でしっかり回復できるので、元気でいる事が出来ます。

しかし、そのバランスが崩れてしまうと、めまいや冷や汗、動悸、血圧の激しい上下、体の一部の震えなどの症状が起こります。また、さらにひどくなると吐き気や頭痛、過呼吸、不眠症、生理不順などの身体症状から、人間不信や情緒不安定、被害妄想、鬱状態などの精神的な症状までが現れる場合もあります。自律神経の乱れによってこれらの症状が起こるものを、自律神経失調症と呼びますが、それに効果を発揮するのが自律訓練法なのです。

自律訓練法のやり方

準備

自律訓練法のやり方

自律訓練法は、心と体をリラックスさせるためのものですから、まずはそれを受け入れる態勢を作りましょう。
体の緊張を取るために、ゆったりとした楽な服装にします。腕時計やネクタイ、ベルトといった体を締め付けるようなものは外しておきましょう。集中力を高めるために、お手洗いも済ましておいてください。

極端な空腹時や満腹時は集中しにくいので避けた方が無難です。
そして、静かで落ち着ける場所で心も穏やかに保ちましょう。

 

6つの公式

自律訓練法には、3つの種類があります。
標準公式、特定器官公式、意思訓練公式の3つで、特定器官公式は体の特定の器官の緊張を取り除くためのもの、意思訓練公式は自分の意思によって症状が再発しないようにするためのもので、それぞれ専門家の指導の下で行います。

標準公式は、これらの基礎とも言えるもので、背景公式及び、第1~第6公式まであります。
第3~第6公式までは専門家の指導が必要ですが、第1、第2公式は自分でも行う事が出来ます。

自律訓練法の実践

自律訓練法の実践

こでは、自分でできる背景公式及び第1、第2公式をご紹介します。リラックス効果を得るだけなら、ここまででも十分な効果が期待出来ます。そんなに難しいものではありません。自律訓練法を行う時の姿勢は仰向け、もしくは椅子に座った状態がいいでしょう。仰向けの場合は、腕は体の脇に自然に伸ばし、脚を軽く開いて目を閉じます。椅子に座って行う場合は、背筋を伸ばして手を膝の上に楽に置きます。頭は少しうつむき加減、口も軽く閉じて足の裏全体を床につけ、目を閉じましょう。

まず、背景公式を行います。背景公式では、頭の中で「気持ちが落ち着いている」という言葉を繰り返します。そして体を軽く揺らしてみてください。体をゆらすことで緊張をほぐし気持ちをしずめ、自分の体がリラックスしているとイメージしてみましょう。これを1~2分ほど続け、気持ちが穏やかになったと感じたら次に進みます。

次に第1公式を行います。ここでは「右手が重い」という言葉を頭の中で繰り返しながら、右手が重い感覚をイメージします。そのイメージが出来たら、さらに同じように左手、右足、左足と進めていきましょう。あまり強く意識し過ぎて力んでしまうと、余計にうまくいきません。力を抜いてゆったりと呼吸をしながら行ってください。すぐに出来るようになるわけではありませんから、焦らなくても大丈夫です。

第2公式では「右手が温かい」という言葉を頭の中で繰り返します。第1公式と同じように、右手が温かい感覚をイメージしましょう。こちらも同様に、左手、右足、左足と進めていきます。

この後、第3公式からは心臓の脈打ちや呼吸、おなかや額の感覚などを使って自己催眠状態を作っていきますが、これらは医師の指導の下で行うようにしてください。

消去動作

背景公式、第1公式、第2公式を終えた後は、消去動作を行います。
両手でこぶしを握ってパッと開く事を5~6回、深呼吸を2~3回行い、大きく伸びをしてから目を開けましょう。
これを行なわずにすぐに目を開けたり、立ち上がったりすると、脱力感やめまい、頭痛などを起こしてしまう場合もあります。

自律訓練法のコツ

言語公式

自律訓練法のコツ

自律訓練法では、頭の中で「重い」「温かい」といった言葉を繰り返しますが、この時はいつも同じ言葉を使うようにしましょう。そうする事で、暗示効果が高まって自己催眠に入りやすくなります。また、「右手が重たくなる」などと言う言葉も使いません。「重たくなる」のではなく「重い」のです。
この語尾の違いに注意しましょう。ここが、自律訓練法における重要なポイントなのです。

 

受動的集中

頭の中で繰り返す言葉は、あくまで受動的に感じるようにしましょう。
「右手が重い」という言葉を頭の中で繰り返しながら、能動的に手を重くしようとしたり、無理に重たく感じようとしたりしてしまうと、反対にストレスになってしまいます。

自分の体に意識を向け、その感覚を作り出すのではなく、受動的に感じるのです。これを受動的集中と言います。最初のうちはその感覚を得られるように、自分で能動的に感じようとしてしまいますが、感覚が得られるまで焦らずにただ待つこと、自然に体から感じられるようにすることが自律訓練法のコツです。

自律訓練法をマスターするには

自律訓練法をマスターするには

自律神経のバランスが崩れている時は、不安や焦りを感じやすいものです。自律訓練法を試しても、うまく重さや温かさの感覚を得られないと、不安や焦りを覚えてしまうでしょう。
ですが、自律訓練法の第1、第2段階だけでもマスターするには1カ月程度かかると思っておいてください。

決して焦らずにリラックスして行うようにしましょう。「右手が重くならない」などと思って焦ってしまうと、かえって逆効果になってしまいます。焦らず毎日やっていれば、自然にその感覚を得られるようになります。
そうすれば、いつでもどこでも出来るようになります。マスターできるまでの時期を乗り越えたら、健康に向かって近づいていくでしょう。

 

まとめ

自律訓練法の効果とやり方

自律訓練法は、心身をリラックスさせて自律神経を整えるのに効果のある方法ですが、あまりやり過ぎると特有の生理的変化やめまいなどを感じる事もありますから、一回で最大5分、一日に2~4回程度行うようにしてください。
また、第3公式以降は心臓や呼吸器、消化器、脳などに意識を集中させるので、それらに疾患や問題がある場合は、影響が出る事もあるので避けた方がいいでしょう。
自律訓練法を行う時は、必ず専門家の指導を受けるようにしてください。

自律訓練法を通して心身のバランスがとれた健康的な生活を送ってください。